二人が出会う５年前。私マリコは、ドイツ旅行をきっかけにドイツパンとハイデルベルクの街に魅せられてしまいました。
そこから「日本でドイツパンの店を開きたい」と 2004 年 8 月に単身渡独。ハイデルベルク中のパン屋でブレッツェルを食べ歩き、一番美味しかった老舗パン屋《BÄCKEREI GUNDEL〈グンデル〉》での修行を決意しました。
突然現れた日本人女性に戸惑いを隠せなかったグンデルのオーナーですが、約５ヶ月間通うことで熱意にほだされたのか弟子入りを許可。

彼のもとで働きながら私は 2007 年 2月にゲゼレ（パン職人）の資格を取得。
さらにマイスター（パン職人の最高資格）の取得をめざし、国立の製パン学校に通うことにしました。

私が入学したのはヴァインハイムにある国立製パン学校。レベルアップをめざすパン職人たちが半年間学ぶ専門機関です。
30 人の同期のうち女性は３人。しかも日本人は私だけという環境でした。
そんな製パン学校での日々は実習にテストと追われるような忙しさ。
ですがそのなかで、常に落ち着いた様子で優秀な成績を保っていた学生がジョニーだったのです。
席が隣同士だったこともあり私はジョニーに何かと助けてもらうようになり、自然と距離が近くなっていったのです。

2009年7月に私たちは《マイスター》の国家資格を取得し、製パン学校を卒業しました。その足で私は夢をかなえるため日本に帰国。
2009年12月、出身地である京都にベッカライ・ペルケオをオープンしました。
ベッカライとはドイツ語でパン屋のこと。またペルケオは、私が修行したハイデルベルクの伝説に登場する人物の名前に由来しています。
その後、遠距離交際を続けていたジョニーと結婚。来日した彼と本格的に店を切り盛りするようになりました。